滅菌消毒装置と薬品と維持管理の役割 vol.6
今回は、「次亜塩素酸ナトリウムの品質と特性を知る その1」と題して、記事を掲載していきます。
次亜塩素酸ナトリウムは苛性ソーダに塩素ガスを反応させて作る比較的単純な製品である。この二つの原料のうち塩素ガスは製品に殆ど差がないが、苛性ソーダは原料塩の組成、製品の作り方の他、自己分解触媒となるコバルト,ニッケル,銅,鉄,マンガンの含有量が極力少ない物を使うことが品質に影響する。また、原料製造後、表面が空気に触れていた時間(空気中の炭酸ガスを吸収し炭酸ソーダに変化して行く)が問題になる。また、次亜塩素酸ナトリウムの製造には強い発熱反応があるため、どこまでその急激な反応を温度コントロールして過不足無く反応させるかが製品の良否を決めることになる。(良質な原水でゆっくり凍らした透明な氷と、普通の水道水を急激に凍らせた白く濁った氷を思い出して欲しい)
また、次亜塩素酸ナトリウムは不安定な物質で製造時16%強の濃度まで出来るが、濃いほど不安定で時間単位で分解して行くので、分解時間を逆算して製造時13.X%の製品は12%表示にしたり10%表示にして販売していることが多い。ということは不安定な薬品は夏の1ヶ月を経過した場合、表示濃度を維持していない場合もあるのである。即ち小規模の水道の場合で小型の定量ポンプで注入する場合、極端な場合1週間に1度位残留塩素を測定して少しづつ目盛をあげていかないと残留塩素不足になり、薬品が注入されていても濃度が不足し消毒されていないことがある。濃度が低下するだけならまだ良いが同時にエアロックを起こし注入不良を起こす事があるのが安物の最大の欠点である。
今後の掲載予定内容
・次亜塩素酸ナトリウムの品質と特性を知る その2
・残留塩素濃度を均一にすること
・薬品の特性と装置
・安い薬品を使いこなすコツ
・維持管理の仕事を理解する
筆者:大学産業株式会社 前会長 曽布川 尚民