滅菌消毒装置と薬品と維持管理の役割 vol.8
今回は、「残留塩素濃度を均一にすること」と題して、記事を掲載していきます。
残留塩素濃度を均一にすることは意外に難しいものである。原水の塩素消費量の問題、管末までの滞留時間、水温の上昇、管材の材質、 などがまず第一の消費ファクターである。次に大規模の水道や古いタイプの水道のように、貯水・滞留する混合を助ける(時間を混ぜる)槽がある場合は問題にならなかったが、技術が進み?、水道用の資材機材の停電も少なくなり、場所も少なくなり、滞留時間は資材機材からの溶出を促し、外部からの汚染の機会を増やし、また時間の経過と共に残留塩素が減少するから、貯留は負の要因になるとの考えより、”直送”が推奨される時代になった。これも一理あることであるが、大規模の上水道等の場合は滞留時間で混合が問題にならないとしても、小規模の給水施設(Φ40mm 150L/min以下)では殺菌消毒の方法と残留塩素の均一性と接触時間の面で問題がある。
(例)150L/minの直送の水供給施設に10%の次亜塩素酸ナトリウムを用いて定量ソレノイド方式の圧入式滅菌機
(1ストローク当たり0.1mL/minの微量注入ができるもの)を用いて0.3mg/Lを10%原液で注入する場合次のようになる。
150L/min×100/10×0.3mg/L=0.45mL/min すなわち1分間に4.5回の注入をすればよい計算になる。
しかし、Φ40mm 150L/minでは、0.15÷0.02×0.02×3.14=119.23m≒120mとなり、120m÷4.5回=26.66・・、
すなわち水が27m流れる毎に13.3秒毎に1回ソレノイドポンプで注入することになる。電磁ポンプは瞬時注入であるから
その先に時間を混ぜる混合タンクが無いと均一に混ぜることは不可能に近い。
しかし、均一に混ざらなくても計算上は150Lの水に対して0.3mg/L注入で0.45mLが消費されて行くのである。これでは
正確に殺菌できないことは容易に理解できることである。そのために電磁ポンプを使う場合には、時間を混ぜる事のできる
ミキシングタンク等の設置を考える必要がある。
今後の掲載予定内容
・薬品の特性と装置
・安い薬品を使いこなすコツ
・維持管理の仕事を理解する
筆者:大学産業株式会社 前会長 曽布川 尚民