滅菌消毒装置と薬品と維持管理の役割 vol.9
今回は、「薬品の特性と装置」と題して、記事を掲載していきます。
大量に薬品を使う場合、維持費(ランニングコスト)の関係で低品質の次亜塩素酸ナトリウムしか使えない場合、装置に次の配慮が必要である。
1.薬品の分解によるパイプライン、定量注入ポンプでのエアロック対策を十分に行うこと。
→上向流配管、排気管、ポンプ内エアロック解消システム 等
2.薬品によるエアロック減少のため大容量定量注入ポンプの採用
→希釈大量注入(希釈水の純水化装置が必要)
3.分解による濃度低下を少なくするために
→タンクの冷却(水冷・室内冷却・チラー循環冷却)、直射光遮断、タンク底の定期的洗浄
4.バイトンゴム溶解による定期交換。テフロン等の樹脂は組織浸透で液漏れを起こす可能性がある。
5.原水のpH値に上乗せのアルカリ分が加わりpH値が上がるので、場合によっては酸を添加して
pH値を下げ殺菌力を高めなければならない。
6.薬液貯蔵タンクの分解した微量な塩素ガスは排気管で必ず大気で希釈される屋外に出す。
7.薬品貯蔵室でも分解した塩素ガスが漂うので電気の配電盤や操作盤は他に移すか、全閉型の盤を使用する。
部屋の換気扇は上より外気を入れ下から抜く冬用と、上部に暖気を抜く夏用の耐食換気扇が必要。
8.薬品の品質を問わず次亜塩素酸ナトリウムを本管に直接注入する場合はソケット内に薬品が触れないように
本管の中央部に出すこと。
→腐食防止と混合のため、また水と薬品が接触する所に硬度成分と反応した白い結晶を生じ注入不良を起こすので
その対策を考えておくこと。(硬度量が50mg/Lを超えると1年に1度くらいの清掃が必要になる)
今後の掲載予定内容
・維持管理の仕事を理解する
筆者:大学産業株式会社 前会長 曽布川 尚民