滅菌消毒装置と薬品と維持管理の役割 vol.10
最終回は、「維持管理の仕事を理解する」と題して、記事を掲載していきます。
維持管理を行う担当者は、日夜何千人、何万人の人の、健康と命を預かっているという責任を負うものである。そして妥協のない維持管理が求められるのである。
責任を負うものとはいえ、現実には、薬品を、揚水量や必要塩素量に比例(1千万分の一の変化量で)させた量を、正確に「金太郎飴」の様に継続して添加させる注入設備が無くてはならないのだが、往々にして装置を購入するときは、管理する人の意見を聞かないで、勝手に買って押し付けている例が多い。民間の小さな食品工場などでは、保健所対策で取り付けるだけで、過去に事故の例がないとして使用してなくて、事故を起こして始めてその結果や影響の重大さに気が付いたり、倒産した食品関係の会社を何社も見ているので、用水の殺菌消毒は一つの保険と思った方が良いと思います。
維持管理は、毎日の残留塩素の測定記録、薬品の補充、機器の異常の記録、修理 等が仕事ですが、現在では自動残留塩素測定記録計、減液警報、注入不良警報、設定残留塩素以下になった場合の警報などのセンサーを設置しておけば、万一のトラブルの場合は維持管理者の携帯電話へ通報する仕組みや、業者へ連絡する仕組み等、より確実な管理もできるようになっています。
また、設置滅菌設備に合う薬品の選定も、購買担当者、調達担当者が勝手に購入して品質の悪い薬品を支給され、維持管理に苦労している担当者が多いのも事実ですから、目的は自社の安全ガードのための保険だという意識をもって、管理担当者と購買担当者のコミュニケーションを良くしておくことも大事なことです。
筆者:大学産業株式会社 前会長 曽布川 尚民