知っておきたい水の話 vol.5
今回は、「”おいしい水”と”名水”は異なる」と題して、記事を掲載していきます。
最近のボトルドウォーター流行りに、それらのネーミングにも様々な名称が付けられ、購入する人々にとって誠に紛らわしいものとなっている。さらに薬事法すれすれのネーミングや効果もどきの表現の氾濫には消費者を惑わすものとして困ったものである。その中でも「おいしい水」(元厚生省の諮問機関である生活環境審議会及びおいしい水研究会の答申による)と「名水」(元環境庁水質保全局水質規制課所管)は、所管する機関によって決められた表現であり、両者は比較の次元が異なるのである。
「おいしい水」の条件とは
1)飲んでさっぱりする味覚
2) くせの無い水
3)汚染を受けていない自然に近い状態の水
4)おいしいなと思う水
「名水」の基準とは
1) 水質、水量、周辺環境、親水性の観点から見て、状態が良好
きれいな水で古くから生活形態、水利用等において水質保全のための社会的配慮が払われているもの。
2) 地域住民等による保全活動がある
地方公共団体等においてその保全に力を入れているもの。
3) 規模
湧水などである程度水量を有する良質なもの。
4) 故事来歴
いわゆる「名水」として故事来歴を有するもの。
5) 希少性、特異性、著名度 等
自然性が豊かで、希少性や特異性を有し、優良な水環境として後世に残したいもの。
要するに「名水」とは、それを産出する【水源】【場所】が主役であり、【口に入る時】が問題の「安全な水」「おいしい水」「健康に良い水」等と直接比較できることではない。勿論「名水」には「おいしい水」や「健康に良い水」の沢山あり、その地においては「名水」に恥じない内容だと思うが、そこから汲み出され、加工されボトルや袋にパック詰めされた「名水の水」が、果たして「おいしい水」か「健康に良い水」かは、確率は高いかもしれないがイコールではない。ムードを求めるか、信ずることによって起こる効果に価値を求めるかは飲む人次第である。
今後の掲載予定内容
水をおいしくする条件
水をまずくする成分
筆者:大学産業株式会社 前会長 曽布川 尚民